この記事では、カナダのコミュニティカレッジについてわかりやすく解説します。コミュニティカレッジの基本情報から、アメリカとの違い、メリット・デメリット、そしてどんな人に向いているかまで、留学を検討している方に役立つ情報をまとめました。
カナダのコミュニティカレッジとは?
カナダのコミュニティカレッジは、各地域にある公立の高等教育機関で、大学進学準備だけでなく、職業スキルを身につける場としても広く利用されています。修了すると、1年の Certificate、2年の Diploma、3年の Advanced Diploma といった資格を取得できます。さらに、大学卒業者向けの Postgraduate Program(ポストグラデュエート・プログラム) も用意されており、こちらは1〜2年で高度な専門的知識やスキルを学ぶことができます。
カナダのコミュニティカレッジでの就学は就職につながりやすく、卒業後の就労ビザ(ポストグラデュエート・ワークパーミット)の申請も可能です。多くのカレッジでは、地元企業との強いつながりを持ち、実習や就職支援が充実しているのも特徴です。
アメリカとカナダのコミュニティカレッジの違い
アメリカとカナダのコミュニティカレッジは似ている部分もありますが、いくつか大きな違いがあります。
大学編入制度
アメリカはどの州でもコミカレから4年制大学への編入が一般的ですが、カナダでは特にBC州(ブリティッシュコロンビア州)のカレッジが編入に強いです。その他の州では、大学とカレッジの提携プログラムを利用すればスムーズに単位移行が可能です。
取得できる学位・資格
アメリカでは2年間の就学で「準学士号(Associate Degree)」が取得できるのが一般的です。
一方、カナダでは準学士号の取得はBC州が主であり、一般的には、Certificate(1年)、Diploma(2年)、Advanced Diploma(3年)といった修了証が授与されます。また、カナダでは、大学を卒業した方を対象にしたプログラムも提供されており、Postgraduate CertificateやPostgraudate Diplomaの取得も可能です。
就労のしやすさ
アメリカでは就学中は、キャンパス内でのバイトに制限されます。また、卒業後はOPTを利用すれば、最長1年間の就労が可能です(理系のSTEMは延長が可能)。ただし、職種内容は専攻分野のみに制限をされ、OPTを申請する前に雇用主を確保しておく必要があります。
カナダでは、在学中に週24時間までアルバイトが認められるため、滞在費の助けとなります。また、PGWP対応のプログラムの場合、卒業後は最長3年間のオープンワークパーミット(Post Graduation Work Permit:PGWP)を申請できます。PGWPの申請に先立って雇用主を確保する必要はありません。留学中の就労や卒業後の就職を考える場合、カナダの制度は非常にメリットが大きいと言えます。
専攻の変更
アメリカでは入学後に専攻を変更することが比較的容易で、柔軟に学びを調整できます。カナダでは、入学時にプログラムを選択する必要があり、途中での専攻変更は基本的にできません。そのため、希望分野が明確な人に向いています。
学生の多様性
アメリカは留学生の割合が高く、国際色が強い環境です。カナダは移民国家であるため現地学生も多文化背景を持ち、自然な国際環境で学ぶことができます。
アメリカとカナダのコミュニティカレッジの違い
項目 | アメリカ | カナダ |
大学編入制度 | 4年制大学への編入がスムーズ。特にカリフォルニア州UC系やCSU系への編入は制度が整備されていている | 大学編入がスムーズなのはBC州のカレッジが中心。その他の州では、大学とカレッジの提携プログラムを利用することで単位移行が可能 |
学位・修了証 | 準学士号(Associate Degree)が中心。 職業訓練コースで、CertificateやDiplomaの取得が可能 | Certificate(1年)、Diploma(2年)、Advanced Diploma(3年)が一般的。準学士号はなく、修了証として授与。大学院レベルのPostgraduate CertificateやPostgraduate Diplomaの取得も可能 |
就労制度 | 就学中の就労は原則学内アルバイトに限定(学外は制限あり)。OPTを利用すれば最長1年間の就労が可能 | 就学中から週24時間までのアルバイトが可能。PGWP対応プログラムは卒業後に最長3年間のオープンワークパーミット(PGWP)を申請できるため就職に有利 |
専攻変更のしやすさ | 入学後に専攻を変更しやすい。柔軟なカリキュラム | 入学時にプログラムを選択する必要があり、途中での専攻変更は基本的に不可 |
学生の多様性 | 留学生数が非常に多く、国際色が強い | 移民国家であり、現地学生も多文化背景を持つため、自然な国際環境 |
コミュニティカレッジのメリット
学費が安い
大学に比べて学費が抑えられており、留学費用を節約できます。年間の授業料は大学の半分程度に収まるケースも多いです。
入学条件が柔軟
平均的な成績があれば入学できるため、幅広い学生にチャンスがあります。
就労経験を積める
カナダでは留学中に週24時間のアルバイトが可能で、さらに多くのカレッジで「Co-op(有給インターン)」が組み込まれています。
PGWP(就労ビザ)につながる
PGWP対応プログラムを修了すれば、最長3年間の就労ビザを取得でき、現地就職につなげられます。
社会人にも人気
職業訓練プログラムを通じてキャリアチェンジやキャリアアップが可能。実践的な学びで就職に直結しやすいです。出願条件が高校卒業以上であるサーティフィケートやディプロマ以外にも、大学卒業者を対象にしてポストグラデュエート・プログラムも提供されています。
コミュニティカレッジのデメリット
学生のバックグラウンドが多様
年齢層や目的がバラバラの学生が多く、意識の差に戸惑う人もいます。
奨学金が少ない
カナダのコミカレは学費が安い分、留学生を対象とした奨学金の金額は小さくなっています。
専攻変更が難しい
入学時に決めたプログラムを続ける必要があり、学びながら方向転換するのは困難です。
こんな人におススメ
カナダのコミュニティカレッジは、学費を抑えながら質の高い教育を受けられる魅力的な進路です。アメリカと比べてプログラム変更の柔軟性は低いものの、卒業後の就労チャンスが大きく、キャリア形成に直結する強みがあります。留学後の進路を見据えて、自分に合った選択をすることが成功への第一歩です。
こんな人におススメ
- 将来カナダで働きたい人
- 費用を抑えて留学を実現したい人
- 実践的なスキルを学び、キャリアに直結させたい人
- 4年制大学への編入を考えている人
コミュニティカレッジの留学費用一覧
さて、コミュニティカレッジがどのようなものが何となく分かってきたと思いますが、授業料や留学をする際にかかるその他費用はどれくらいになるのか気になると思います。
以下はコミカレの授業料および滞在費の比較一覧です。カナダのコミュニティカレッジの授業料は、プログラムごとに決まっています。以下は、一般的なディプロマプログラムを受講したときの授業料です。
BC州のコミュニティカレッジの学費(2025-2026年)
College of the Rockies | Langara College | Camosun College | Okanagan College | |
授業料(2学期) | $16,340 | $19,910 | $18,246 | $17,770 |
生活費概算(1ヶ月) | $2,292~$3,007 | |||
ホームステイ(1ヶ月) | $925 | $1,350 | $1,050 | |
学生寮(8ヶ月) | $4,800~$5,480 | $9,200~$14,400 | $6,000~$9,000 |
オンタリオ州のコミュニティカレッジの学費(2025-2026年)
George Brown College | Niagara college | Centennial College | Fanshawe College | |
授業料(2学期) | $16,762 | $18,750~$21,000 | $17,148~$18,254 | $16,561 |
生活費概算(1ヶ月) | $1,500~$2,000 | |||
ホームステイ(1ヶ月) | $950 | |||
学生寮(8ヶ月) | $11,275 | $9,250 | $10,560 |