
アメリカ留学中にパスポートを紛失してしまったら
アメリカ留学中にパスポートを紛失してしまうと、とても不安になりますよね。
ただし、正しい手順で対応すれば、留学自体が続けられなくなるケースは多くありません。
このページでは、F-1ビザでアメリカに滞在中の日本人留学生がパスポートを紛失した場合の基本的な考え方と、具体的な手続きの流れを整理してご説明します。
1. まず知っておきたい「ビザ」と「ステータス」の違い
混同しやすいのですが、
- ビザ(VISA)
→ パスポートに貼られているシール。「アメリカに入国するための許可」です。 - ステータス(F-1ステータス)
→ アメリカ国内での在留資格。I-94とI-20で、「滞在できる期間」が管理されています。
アメリカ国務省の案内でも、パスポートやビザを紛失しても、I-94に記載された期間内であれば、そのまま滞在を続けることは可能とされています。
Travel.State.Gov「Lost and Stolen Passports, Visas, and Arrival/Departure Records (Form I-94)」
つまり、
- すでにアメリカに入国済み
- I-94が有効(入国許可クラス:F-1、期限:D/S)
- I-20も有効でフルタイムで就学中
であれば、ビザシールを紛失しても、アメリカ国内でのF-1ステータス自体は基本的に維持されます。
2. パスポート紛失後「すぐに」行うべきこと
2-1. 近くの警察に紛失届を出す
まずは、最寄りの警察署・警察局に行き、パスポート紛失の届出をします。
紛失の経緯を説明し、Police Report(ポリスレポート)をもらいます。後でパスポート再発行やビザ再申請の際に提出を求められることがあります。アメリカ国務省も、紛失時には警察への届出を行い、レポートを取っておくことを推奨しています。
2-2. 在アメリカ日本大使館・総領事館に連絡
次に、在アメリカ日本国大使館・総領事館に相談し、新しいパスポートの発行手続きを行います。
どの在外公館が管轄かは、滞在している州によって異なりますので、公式サイトで確認してください。
なお、パスポートを盗難・紛失・焼失した方は「紛失一般旅券等届出書」を提出する義務があります。「紛失一般旅券等届出書」を提出すると、当該パスポートは失効します。この届出書の提出後に盗難・紛失したパスポートを発見しても使うことはできません。
2-3. 学校へ報告
在籍している学校の留学生オフィスやDSO(Designated School Official)にも必ず連絡しましょう。
- パスポートを紛失したこと
- 新パスポートを申請中であること
- パスポートが発行されたら、コピーを提出すること
3. 紛失したパスポートに貼られていたF-1ビザについて
3-1. ビザを発行した米国大使館・総領事館に「紛失の報告」
紛失したパスポートに、有効なF-1ビザが貼られていた場合は、そのビザを発行した米国大使館・総領事館に紛失報告をすることが求められています。
有効な米国ビザが貼付された非米国パスポートを紛失または盗難された場合の案内はこちら>>>
日本でビザを取得した場合は、
- 在日米国大使館(東京)
- もしくは、大阪・福岡・札幌・那覇などの米国総領事館
のいずれかになります。
3-2. 報告すると、紛失ビザはシステム上「無効」に
紛失したビザを報告すると、そのビザはシステム上で無効化されます。そのため、後で紛失したパスポートが見つかっても、そのビザを使って再入国することはできません。これは、不正利用防止のためです。
4. アメリカ国内での滞在はどうなる?
アメリカ国務省の公式説明によると、ビザを紛失しても、I-94に記載された滞在許可期間内であれば、アメリカ国内に滞在し続けること自体は可能とされています。
F-1留学生の場合、
- I-94: 「F-1」および「D/S(Duration of Status)」
- 有効なI-20
- フルタイムで在籍
であれば、留学生としての在留ステータスは継続します。
5. 新しいパスポートが発行された後にやること
新パスポートを受け取ったら、次の点を確認・対応してください。
5-1. 記載内容の確認
氏名、ローマ字スペル、生年月日、有効期限などに誤りがないか確認します。
5-2. 学校へコピーの提出
在籍している学校の留学生オフィスやDSO(Designated School Official)にパスポートのコピーを提出します。紙での提出か、PDFファイルなどでの提出かは、学校に確認します。
5-3. 書類一式をまとめて保管
以下を1つのファイルにまとめて常に携帯しておくと、身分確認などに安心です。
- 新しいパスポートのコピー
- 紛失したパスポートのコピー
- 紛失したビザのコピー
- 最新のI-94
- 有効なI-20(DSOサイン入り)
- Police Report のコピー
6. 次に「日本に一時帰国」する前に必要なこと
6-1. 結論:再度アメリカに入国するには、新しいF-1ビザが必要
ビザは「アメリカに入国するための許可」なので、次に日本に一時帰国し、再びアメリカに戻るときには、新パスポートに新しいF-1ビザを取得する必要があります。
米国務省の案内でも、紛失したビザはアメリカ国内で再発行することはできず、必ずアメリカ国外(自国など)の米国大使館・総領事館で再申請が必要とされています。
6-2. 一般的に必要になる書類の例
再度F-1ビザを申請するときには、初回の申請とほぼ同じ書類が必要になります。以下は一例です。
- 新しいパスポート
- 有効なI-20(新しいTravel Signature付き)
- SEVIS費用支払いの証明(通常、同じSEVIS IDなら再支払いは不要だが、念のため確認)
- 学校の在学証明・成績証明書
- 預金残高証明などの財政証明
- 紛失時のPolice Report
- 紛失したビザやパスポートのコピー(ある場合)
7. よくある質問(Q&A)
パスポートの顔写真ページ
F-1ビザのページ
I-94
I-20(署名部分が見えるように)
8. まとめ:慌てず、順番に対応すれば大丈夫
ポイントを整理すると
- 警察に紛失届 → Police Reportを取得
- 在アメリカ日本大使館・総領事館で新パスポートの発行手続き
- 学校の国際オフィス(DSO)に報告
- ビザを発行した在日米国大使館・総領事館に、ビザ紛失の報告
- 新パスポート発行後は、I-94やI-20と一緒に常に携帯
- 次に日本へ一時帰国する前に、在日米国大使館・総領事館で新しいF-1ビザを申請
パスポート紛失は大きなトラブルに感じますが、正しい手順で落ち着いて対処すれば、留学生活を続けることは十分可能です。
実際の手続きは、必ず最新の公式情報(在アメリカ日本大使館・総領事館、在日米国大使館・総領事館、アメリカ国務省・CBP・USCISなどのサイト)で確認しながら進めてください。
